どんどん冬の景色へと変わりつつありますね。今年の冬も昨年みたいに寒さが続くか気がかりですが、とりあえず節電の声が余り聞こえないのが多少安心材料です。
(残念ながら筆者はこの連休も仕事に追われて、毎日PCとの睨めっこが続いていますが。。。)
さて、そんな中でウォッチしているのがPGMゴルフマネジメントとアコーディアゴルフとのTOB(以下、「本件TOB」といいます。)です。
本件TOBの注目ポイントはどこにあるかというと、
①同業者における買収者と被買収社の価値向上施策に関する鬩ぎ合いであること
②友好的か敵対的か明確になっていないTOB提案であること
③両者が取引対象(=アコーディアゴルフ)の価値認識に対してことなる見解を明示していること など、まさに金融論の教科書(あるいはビジネススクールのケーススタディ)に見られるような典型例で、両者がそれぞれ独自の主張を展開しているところに関心ポイントがあると感じます。
ちなみに両者の主張は下記の通り真っ向対立していますから、本当に今後の展開がどうなるか読めないのが事実。
PGMゴルフマネジメント:「世界最大のゴルフ場運営会社の誕生に向けた公開買付けに関するご説明」アコーディアゴルフ:「当社の経営戦略および 2012 年 11 月 15 日付 PGM ホールディングス株式会社の説明資料に対する当社の認識のご説明に関するお知らせ」なお、筆者の先日のブログ(
「インベストメント・バンカーの基本動作<PGM vs. アコーディアのTOBにおけるIバンカー的発想とは>」)において、Iバンカー(ないしはPEファンドの投資マネージャー)における基本動作を簡単に紹介しましたが、筆者もその基本動作に関して現在いろいろ検討しているところなのです。
もっとも、上記両者主張を見ていえるのは、どちらの主張がより合理的なものであるか、冷静に判断できる人はそんなに多くないだろうと思う点です(それほど両者の主張が拮抗している証左ですが)。
実際に、本件TOBは11/16から来年1/17までの実働38日間の短期決戦ゆえ、非常にタイトなスケジュールで意志決定しなければならないから、利害関係者にとっては結構重たい話になるといえばその通り。
また、本件TOBは単に金融的観点からのみならず、会社法の観点からも、こういった局面でTOBを仕掛けられた被買収会社の取締役はどのような経営判断をすべきかという、アメリカ的「取締役の義務(=Fiduciary Duty)」に類似する判断が求められる事案のようにも思えるから、ますます世間の関心は高まります。
このように、いろいろ意味で検討すべき課題が多いゆえ、筆者も個人的にかなりの関心を有しているのです。
もちろん、筆者本業は会計士なので、直ぐさまピッチブックをもって走り回ることはしませんが、上記の両者主張について本当に正しい考え方は何かをしっかり見極めることは重要だと感じています。
なぜなら、上記の両者プレゼンを見ると、どちらの主張も正しそうに見えるのですが、パッと見だけでは良く分からないからです。なので、筆者も、慌ただしい時間の合間を縫って、上記プレゼンを冷静に分析している最中。
以上を踏まえ、こんなに実務に即したテーマはないと考え、どこかのタイミングでPGM vs. アコーディアの本件TOB取引に関する勉強会が出来ないかを検討しています(時期は未定、ただしTOB終了後になることも想定)。
筆者の想定する本件TOBに関連する様々な検討課題を、本勉強会にてアレコレ議論できればと思っています。まさに生の事例をもとにケーススタディを行うものです。やはりこうした事例研究を行う事が、本ブログの指向する
「公開情報を基に客観的分析を行い、様々な局面におけるリスク判断やリスクヘッジの考え方を整理すること」を真の意味で実践できると考えています。
当然ながら、投資勧誘や助言というようなことは目的としていません(例えば「本件TOBに応募すべきか否か教えて欲しい」というニーズに対しては何もお答えすることは出来ません)ので、その点は予め申し上げます。いずれにしても、純粋に本件TOBに関連したIバンカーとしての基本動作とはいかなるものかをディスカスすることを目的としています。
勉強会につき興味のある方は個別にメールを頂くことでも構いません。
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